ラララファームさんの元へ
—— 服部さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
服部:はい。よろしくお願いします。リレーインタビュー、すごい人たちでここまで繋がってきましたね。誰かの紹介じゃないと絶対繋がれないような。
—— ありがとうございます。ご縁とご紹介で繋いでこれました。
服部:僕はシュンスケ君へパスし紹介しますね。(※島牧村ユースホステル:吉澤俊輔氏)。僕らみんな仲間で循環してるからさ。
—— お願いする前から早くも次回ゲストのご紹介をありがとうございます!
服部:シュンスケは木工作家でね、北海道島牧村のユースホステルを運営されてる。食の事も自分で裏の畑もやって野菜も作って山菜の名人だし、電気も自給してる。
木工作品も本当に素敵でコップとか積み木とかも超カッコイイし、よくイベントしてるよ。
シュンスケはすごくいいいよ、話としてきっと。
—— 吉澤俊輔さんのご紹介をありがとうございます。それでは本稿の本題の服部さんへお話を移らさせてください。まず初めて服部さんを知る方も多いと思いますので、ビアストラ読者様へ簡単な自己紹介をお願いします。
服部:はい、Lalala Farmの服部吉弘(はっとりよしひろ)です。S,52年5月28日。名古屋出身です。
—— 名古屋のご出身なんですね。現在は北海道ニセコにいらっしゃる訳ですがどのような経緯でニセコへ?
服部:大学を出て建設会社に入り、それから忙しすぎて食生活が乱れてきて、なんか自分の体がしんどくなってやばいな〜と。
あと、宅地造成したり道路作ったりで、環境壊しているようで嫌で。
—— 土木で働いていたんですね。
服部:そう、30歳を前に人生のターニングポイントというか、仕事に誇りが持てなくなって。しっかり考えようと思って。ちょうどね、同世代の友達が、転職したり、自分が好きな事やり始めたり、刺激も受けて。
う~ん…こんなんで俺いいのかな? みたいな。
—— ご自身の人生シナリオを真剣に考え始めたというか?
服部:そうですね、まぁまぁの人生より二度とない素敵な人生送りたいと思ってました。
—— 「二度とない素敵な人生」とても素敵なフレーズですね。
服部:こう給料も良くて、仕事も充実してて、人並みに楽しかったしまぁまぁの人生だったんですよ。でもまぁまぁじゃ絶対に嫌だなと思って。
「好きなところで好きなことしたい」って決意しました。
環境も壊さなくて、自分らしく生きられるって、なんだろうなぁ〜と? と、思った時、なぜか農業しか浮かばなくて、農業を若いうちにやったら格好いいなと思って。
その時は・・・直感です。
—— 直感で就農の道へ決めた?
服部:若いうちから野菜育てたらカッコいいなと思って。環境の事とか自分の体の事、健康面とか、たぶん色々総合的な判断だったと思うんですけど。
「あ!農家になりたい」と思って。
直感もそう、真剣に考えても、正直これしか浮かばなかった。
—— 周りが農をやっていたとか?
服部:全然誰もやっていなかったし、実家が農家だったわけでもないです。
アウトドアが好きでしたから、外でやる仕事で、環境も壊さなくて、オーガニックの農家になりたいと思って。
28歳のゴールデンウイークに決断して、5月の下旬誕生日だから29歳の時に北海道へ移動したの…確か。
—— まず最初にどちらに移動したんですか?
服部:ここ、ニセコに。直感で北海道でやりたかったからです。
大学の時に北海道をグルっと自転車で旅したんです。道北は行ってないけど、その時に自然とか人の優しさにふれて…
優しいんだ北海道の人って。
なんか知らないのに泊めてくれたりとか、そういう人の優しさの連続で感動しました。
自然に憧れ、北海道に憧れ、いつか住みたいっていうボンヤリとした夢があった。
じゃあ北海道で農業やろう。そう思いました。
—— 今につながりますね! 立地条件はしっかり見据えておられたんですか?
服部:ニセコでやっているイメージが自分の中で直感でありまして、札幌へも2時間、千歳空港へも2時間、生活面では田舎でも売り先もあり、リゾート地が近いですから。
自分が小っちゃく就農してやるには冬の仕事問題もあります。北海道の田舎と言ったらみんな出稼ぎするレベルなんです。
ニセコはスキー場があるから通年でビジネス的にも生活的にも、総合的に不便もありません。
あと他には、北海道でいうと富良野みたいなとこしか思い浮かばないでしょう?
—— ニセコはスキーリゾートで有名ですね。確かに北海道は札幌市内から5~6時間移動にかかる農地も沢山ありますね。
服部:そうそう、距離半端ないですから。
ネットで調べて、どっかオーガニックやっているところないかぁ~? って、電話して、「すみません仕事させてください」って。そしたら断られまして(笑)
でも、その当時はオーガニックも流行っていなくて。熱意だけは伝わって、「まぁ、一回来ていいよ〜」みたいな返答もらいまして。
でも、会社がなかなか辞めさせてくれなくて、エリートだったから。ははは~(笑)
—— いきなり会社辞められたら…
服部:良い上司がおりまして、「一週間休みあげるからお前見てこい」って、「お前はたぶん幻滅して帰って来るから」って。休みくれて。ポンと。
—— え? 一週間も?
服部:うん。「嫌だったら会社に戻ってきてもいいし」「本当に辞めるならそれでもいいし」って。
で一週間行ってみたらイメージ通りだった。ちょうどアスパラの収穫時期で、羊蹄山もバコーン見えて、「めっちゃ気持ちいいじゃん」みたいな。
—— 1週間の視察の時に初めてニセコに来たのですか?
服部:うん。プレハブみたいなのに泊まらせて貰って、そこのおばちゃんがね。
「来ていいよ。やっぱり、よっちゃん(服部氏)あなたならなんかできそうな気がする」って言ってくれまして。
—— 差支えなければそちらの農家さんは? オーガニックの農家さん?
服部:吉原さん、でも一昨年亡くなられてしまいました。オーガニックを目指されていた。農薬とかもあまり使わないで、最小限にされてました。
そこで2年学び、でもこのスタイルは俺には合わないと思って。
ニセコのスタイルって、芋、アスパラ、かぼちゃ、麦とか、すごく畑の面積が必要で、そんなにお金もないし、出来ないと思ったんです。それだけ面積が必要になったら今度は大きい機械いるでしょ、倉庫もいるでしょ? そしたらゆるくないから。
ビニールハウスの施設栽培って反収が上がるから、施設栽培しようと思って。それでトマトやりたくて。
余市に有名なトマト農家さんがいて、「行きます」っお伝えして。トマト勉強させていただいて、余市で2年研修させていただいて、独立して今期7年目です。
—— ご自身の理想とする農があったということですか?
服部:ううん、農薬も使うし、化学肥料も堆肥も使ってたし。
でも、すごく美味いトマトを作ってました。甘くて、ジュースも美味しくて、その技術を知りたかったんです。
—— ノウハウを得たかった。
服部:ノウハウを得て。それをオーガニックでやってやろうと思ってました。
微生物のことを想い続けて
—— 実際にオーガニックのトマト栽培をやってみていかがでしたか?
服部:難しかったかな〜。自然栽培では無肥料だから肥料でコントロールするのが難しいから。
—— 虫が寄り付かないとかそういうことですか?
服部:ううん。肥料で味をある程度コントロールできるんだ。ちょっとリン酸を多めにしたりとか、窒素ちょっと少なくしたりとか、肥料で味をコントロールできるさ。
—— おいしいトマトを肥料でつくる?
服部:味だけね。でもそれは環境や身体にもリスクがあって、僕のやりたいスタイルではないと思って。
今は肥料も何もあげないから、それでおいしい野菜を作るにはやっぱり微生物をふやしたりとか、エネルギーの循環とか、植物ホルモンをいかに分泌させるかとか、わき芽の処理とか、吊り方とか、そういうことでコントロールする方法を考えてる。
あと愛情を注ぐとか
—— 愛情!大事ですよね! ところで服部さんが微生物に詳しい理系農家さんとして取材を受けてる記事も拝見しました。
服部:えーほんと? かなり昔のですよね。5、6年ぐらい前なのかな。
—— 研究状況は変わってますか?
服部:全然変わって、毎年進化してます!
肥料をやめた当時、トマト取れる量が5分の1になっちゃったんです。その時は本当に生活できなくて毎年100万ぐらい赤字で、生きていけなかったんですよ。
だから一生懸命、命かけていろんなことを勉強しました。
—— 命をかけた時に、気付いた点などは?
服部:「発酵」と「循環」が見えてきました。
—— どうやって勉強したのですか?
服部:講演、先輩、人から聞いたり、本読んだりとか。自分でいろいろ調べました。
結局自分は、植物に肥料を与えない自然栽培だからさ、土の中の微生物がたくさんいないと野菜と植物は育ちにくい。
けど、微生物のことを知りたくても自分が知りたい微生物って目に見えないし、科学的にもまだ証明できてないことが多い。
だからね、とにかく考えて想っていた、ずっと微生物のこと。
—— 「ずっと微生物のことを想っていた」とても素敵な響きですね。
服部:そしてある日。
味噌や酒造りをするようになって、いろんなことが繋がって。
「あぁこういうことか!!!」って。
だんだん「発酵」に興味持ち出しました。
お酒も微生物が作っていたから。
すべてのことは循環。循環してるでしょ? 人間も植物も動物も、全部微生物によって生かされていると思った。
いまの日常生活があるのも微生物のおかげなんです。
—— 酒造りを通じて目に見えない、微生物の確かな存在と働きを感じ始めたのですね。
服部:そう。微生物がいるから全ては循環してるのかなって。
人間はご飯を食べ、腸内細菌などが食べ物を分解し、要らないものが排出されます。で、排泄物は微生物の餌になってホントは土に返すわけですよね?
下水処理場行っても微生物で処理してる。
葉っぱが枯れて土に変わるとか。その間には必ず微生物がいます。結局、微生物がエネルギーを取り込んで物質を変化させています。
微生物がいなかったらゴミの山さ、地球上は。
—— 確かに! 分解されて循環していく
服部:ということがわかってきました。
結局、土の中も、その畑の中も、カラダの腸の中も、微生物の仕組みはだいたい一緒なんだなと思いました。
そのような仕組みが、ストーンと落ちてきて、「あーそういうことかぁ」と。
でも、科学で証明できていることは少ないようなんです。
—— 科学的証明もまだ…見えない世界だから…?
服部:微生物のことはまだほとんどわかっていないようです。
「まだ数%しかわかっていない。100あったら10%もわかっていない」って科学者たちが言ってます(笑)
ただ自然界には摂理がありますよね。
自然の摂理で植物だって動物だって育つし、人間も摂理の元に育ちます。
育って、そして幸せになれるんです。
逆に微生物がいないと、人は生きていけないし、育たないし、幸せにもなれないかも。
—— 微生物と循環を意識していくことが、幸せにつながる?
服部:そうだと思います。
土の中に必ず微生物がいて、植物は微生物がいないとスムーズに生きていけないのです。
人間も植物も微生物がいないとスムーズに生きていけない。
微生物の働きと自然の摂理に気づいていないと、こういう話はどうしてもマインドだけになってしまいます。
多くの人は植物に触れないし、野菜も作らないし、土にも触れない環境にいるでしょ?
—— 土に触れる大切さですよね。
服部:微生物の働きを理解して自然摂理に沿って生きていれば、本当はあまり問題が起きないと思います。
けど、自然という軸から遠ざかると元に戻ろうという力が働くようです。
それが病気だったり、虫が出たりっていう形で。
人間も動物ですから、土に触れ、植物を育て、旬なものを食べ、動物らしく生きていれば、本来は病気などの問題も起きにくくなるはずです。
けど、今の人はそこから離れてしまっているでしょ。
—— 大都市に長い間いるとね…
服部:それは本来の動物じゃない生活だと思うから。
動植物と微生物のおはなし
服部:植物と動物と微生物の話をしたいと思います。
—— はい、ぜひお願いします。
服部:まず、植物って太陽と二酸化炭素と水だけで光合成して炭水化物を作り、酸素を排出する。要するに食べ物を作ってくれる。
人間は植物がいないと酸素が少なくなって息苦しくなると思う。
さらに酸素は紫外線に当たるとオゾンに変って、それが上空に行ってオゾン層を作ってくれて紫外線をカットして人を守ってくれています。
—— 植物のおかげで紫外線から守ってくれているんですね。
服部:そう。植物がいるからこそ、人間は外で生きていられる。でも、植物は動かないじゃないですか。
—— 土に根を張り、歩いては動けないですよね。
服部:植物は動かないんですよ。なぜなら植物は生きていく上で必要なものは全てその場で自分で作れるから、植物は動かなくていいんです。
でも、動物は基本的にご飯を食べるために動きます。
動物は生きていく上で必要なもの全てを自分では合成できないからです。動いて猟に行って食べて摂るしかない。また動物は紫外線から逃れるため、動いて日陰に逃げることができます。これが植物と動物の大きな違いですね。
で、植物は光合成で作った炭水化物などを根っこから出し、それが微生物の餌になっている。
一方、微生物は枯れた葉っぱなど有機物を細かくして、今度は植物が吸えるようにしてくれます。だから微生物と植物は相思相愛で共に生きている。
—— 植物と微生物は共生関係が成り立ちますね。
服部:空気中には、窒素が約80%存在しています。この窒素というのが植物にとって一番必要なものだから。これを土中に固定してくれる微生物がいっぱいいる。
また、微生物が有機物をアンモニア態窒素とか硝酸態窒素にしてくれて、初めて植物が吸えるようになる。だから、植物は本来肥料がなくても成長できる。
そこら辺に生えている木とか草とか、人間が手入れをしないでも育ってるでしょ? それなのに生きてる。
なのになぜ野菜だけは人間が肥料を与えなければ育たないの? と、思ったのです。
いろいろ調べたら結局、植物のことを深く知ると、微生物が生きやすい環境をつくれば全てが循環するんじゃないかって思うようになりました。
—— 微生物が生きる環境が整えば全てが循環しはじめる。
服部:そうですね。だから微生物と仲良くなりたくていっぱい勉強した。
微生物のことを無視して化学肥料をたくさんあげちゃうと微生物の必要性が少なくなってきちゃう。だからだんだん微生物が減って、空隙が少なくなって土が固くなって、肥料をやらないと育ちにくくなる。そこで人が肥料をあげて半ば強引に育てます。また、肥料あげると虫がわく。虫がでたら農薬をかける。
これが現代の農です。自然界を無視しているのが今のやり方なのではと思います。
人間だけが自然の循環から外れようとして、たくさん問題が起きているように思います。
自然の摂理は複雑だけどすごくシンプルだと思います。自然の摂理に反して、勝手に病気だとか言って本来は必要ない農薬などを施していると思うとなんかなーって思う。
けど、本来は、土にいっぱい微生物がいるから余計な事しなくても大丈夫なんだって思う。
微生物がいっぱいいるから土を触ってるだけで元気にもなるんですよ。
—— 土を触ってるだけでいいのですか?
服部:うん。で。土にもいっぱい微生物がいて、植物にもいっぱい微生物が付いています。植物を触っていると勝手に微生物が身体に入ってきます。そして腸が発酵しやすくなると思うんです。
—— 土いじりと野菜を育てることで その微生物が体によい効果を?
服部:元気がない人とかに農作業させたりとかするでしょう? あれはちゃんと理にかなっていると思います。
微生物といっぱい触れるから腸が発酵しやすくなる。幸せホルモンは腸で作られるようなので。微生物によって腸で作られて血液を巡って脳にいって。「あー楽しいなぁ」っていうふうに。
大都会のように自然から離れてしまうと、色々なストレスや病にもなりがちだけど、ここニセコで生きていれば、湧水はわいてる、野菜を育てられる、微生物いっぱいついてる、マイナスイオンもいっぱいあるでしょう。
アンチエイジングになり、年も取らないし、疲れないし、楽しいし、幸せだなぁって思います。
—— Lalala Farmの農園はニセコにあり、本当に心地よさを感じますね。微生物のいない環境を選ぶことは過酷なことですね。
服部:そうです、人間は腸から進化した生き物ですからね。
—— えっ? 人間は腸から進化した!??…
「腸」から進化した生物
服部:腸の進化の話、説明しますね。
—— はい お願いします!
服部:歴史をみると、地球は海だった訳でしょ。筒状の植物性プランクトンがいて、光合成をしていた。
そしてある日突然、光合成できなくなったプランクトンが現れて…死んじゃうじゃない? 光合成できなくて自分で必要な養分を作れないから、動かなくちゃいけなくなる。
それで鞭毛(べんもう)というヒレみたいなのがついて、動き出した。これが動物の生まれた瞬間と言われています。
ここまで大丈夫ですか?
—— はい。
服部:海の中を動き回って、餌をパクパクって食べて出す。パクパクって食べるようになった動物。
で、人間は今も20種類のアミノ酸で構成されてるんですけど、そのうち9種類は必須アミノ酸って言われているのはよく聞くでしょう? 11種類は作れるけど9種類は食べ物として食べなきゃいけない。だから食べる必要があります。
人間は9種類。動物によってはちょっと違うんだけど。
そして、食べたくないものも入ってくるのは嫌でしょう? 下痢になったり、人間で言えばまずいものが入ってきたり、、。
そうしたらどうするかというと、どう進化したか? というと、次に必然的に五感が発達して。
五感。要するに、見て、匂い、嗅いで、触って、舐めて、聞いて、自分が食べたいものかな? ってチェックして選べるように、五感が発達します。
けど、情報が多すぎてね。
それで、次に発達したのが脳です。
—— 5感センサーの処理役として脳が現れた?
服部:この生物学的にいったら、何が一番大事か分かりますか?
原型の腸が一番大事なんです。
腸の次に五感が大事。五感の次に脳が大事。
バランスが必要だけど、
今の人は逆になってしまっている。
本来は腸で選ぶはずの食べるものを脳で最初に考えてしまってる。
—— 本来は「腸」が必要としてる食物を「五感センサー」で識別しその処理を「脳」で行うという流れ。
服部:そう。わかりますね?
この順番がもし逆行するといろいろな問題が起きると思うんです。
極端に言えば、腸が欲するものを食べれば健康でいられると思う。頭だけで考えて食べたら腸が欲するものを食べれないですよね?
現代医学では「腸は第二の脳」と言われているみたいだけどそれは逆だと思うんです。
本来は「脳は第二の腸」だなって。
だから、腸の声を聞いて生きていけば健康で楽しく自分らしく生きていけるじゃないかと思う。
—— 我々は自然栽培の野菜を知ってからずっと、求め続けてます。Lalala Farmさんのお野菜は自然栽培でそのまま食べれますね。
服部:そう。自然栽培の野菜だったら本来植物に備わっているエネルギーやビタミンやミネラルや抗酸化物質などもたくさん含まれているはず。
微生物がたくさんいるから植物も育って人も育って腸が発酵して幸せになれるはず。
人間は腸だから、腸を発酵させることをシンプルに考えるのがいいかも。
発酵と腐敗のサイクル
—— 微生物には発酵と腐敗の循環サイクルがあるとのことですが。
服部:そう。腸が喜んで発酵する生き方っていうか…発酵型の生き方っていうのがあると思うんです。
発酵食品は発酵過程で空気の中の乳酸菌や酵母菌などをどんどん取り込めるからどんどん発酵しています。
植物も太陽エネルギーや二酸化炭素などをどんどん取り込んで大きく育っていきます。
人もご飯を食べられるからどんどん成長していく。
—— 腐敗と発酵の違いは?
服部:腐敗と発酵は順番が違うだけです。
入って出る…出て入る。ただそれだけです。お金もそう、ないなら使えないでしょ(笑)お金があれば使う。
順番が違うだけの表裏一体、腐敗も発酵も同じ仕組みかな。
—— 発酵してさらに循環していくには?
服部:意識を高く、自分が本当にやりたい事をやる。そんな人は輝いてる。良い循環になる。人に親切にされたらスグ人に親切にする。
そしたらスグまた自分に返ってくるっていうのが発酵の法則っていうやつ。
ワクワクすることを選択する。
自分が好きな事をしてて、ワクワクする事を選択する人は、発酵しやすい。
直感で生きる発酵の法則では、好きな事してると意識圧が高くなるから、意識圧が高いと、その人は必ず「動き」はじめる。
意識圧の高い人はじっとしていないから。
さらにんどんどん良いものが入って発酵のサイクルになっていく。この法則はすごくシンプルなものです。
—— 逆に腐敗のサイクルとはどんなもの…?
服部:不満ばっかり言ってると自分の周りが不満なものだらけ。悪循環して心地よくないです。
例えばあいつ「ムカつく」とか、「やってられない」とか、「つまんなくて」とか、嫌な事ばっかり口に出してると、自分の周りが嫌なものだらけになって、嫌なのに余計に悪循環になってしまう。
自分がワクワクする事を選択していない人は腐敗のサイクルになりやすい。
植物では腐敗の放出サイクルになったらそれは死に向かう時。エネルギーを取り込めなくなって枯れていく。
—— 「こうでなきゃいけない」って、自分に対する思い込みはどう思いますか?
服部:それは頭だけで考えていますよね。
人間は本来、腸が欲し、五感センサーで感じ、脳で処理してっていうシンプルな構造ですから、その場合はこのサイクルの「腸」を大切にした方がいいんじゃなかって。
現代人は食べ物を買うにも値段見て「高いから買ってはいけない」とかさ、「カロリーが高いから食べてはいけない」と感じるかもしれません。しかしそれは既に頭の中のことですよね。
腸が食べたいと思ったものを食べて、それで結果を思い返しても僕は問題はなかったなと思います。
直感で行きたいと思ったらそこに行く。それで後悔した事もあまりない。
やがて本来の発酵循環サイクルに変わっていくと思うから。
—— 争いごとに対しては?
服部:発酵の法則が分かってくると多様性を受け入れられるようになります。
俺はあんまり争いが好きじゃないから少しずつ許せるようになった。
自然界は多様性で平衡が保たれているから、逆にいろんな人がいないと不自然なんですよね。発酵が良いという人もいれば、良くないという人もいないと。
—— 多様性が保たれ平安が訪れる…
服部:そう。自然界で大切なことは多様性を受け入れる事だと思うんです。
「私は1が良いと思っているのに、あの人は2が良いと思っている、だから嫌い」とかっていうのが無くなる。「これはダメ反対」とか、そういう概念は無くなる。
自然界にはいろんな草と植物が生えてて、いろんな動物がいて、多様性で成り立っています。もし明日、虫が全て消えたとしたら、いづれ植物もいなくなるかも。
多様性があると発酵しやすくなると思う。
みんな多様性の中で生きている。
だから正直なんでもありだと思う。なんでもいいんだなって。
—— 「オーガニックでなきゃだめ」と、まるで主義のように固く考えてしまう人も多くみかけますが。
服部:うん、みんなそれは通るよ。俺も最初そう思ってた。けどね、自然界は多様性で成り立っているし、人から聞いた事は参考にするだけでいい。
—— どこまでも自然界を参考に見習っていくということ?
服部:そうそう。自然と共に生きること。
(左:ソガイハルミツ/右:服部吉弘)
出典:Photo By 服部吉弘 facebook
幸せになることが社会貢献
服部:微生物をお手本にして生きていけば、実は好きな事をやっていることで幸せになれるし、楽しいし、まわりにそれが広がって発酵して、社会貢献になっていくはず。
—— 自分の好きなコトが、誰かの役に立つと確信できれば素敵ですね。
甘酒用:米麹(酒米・吟風)
出典:Photo By 服部吉弘 facebook
海外の人はさ、発酵型の人も多くて好きなことばっかりやってる人も多い。特にニセコは海外の人が多く集まってて感じるけど。自分が幸せじゃないと、他人を幸せにできないと思うから。自分が幸せになることが本当は社会貢献だと思います。
—— 心も豊かになりそう。
服部:俺は誰かを幸せにしたいとも思っていなかった。なればいいなとは思ってたけど。俺は農業が好きだから農業をしているだけ。
好きな自然栽培で僕が育てたトマトや野菜を食べた人が「おいしい」「すごい幸せ」「また買いたい」って言ってくれて、周りがどんどん楽しくなっていきます。
僕が好きなことをしていたら周りがどんどん幸せに発酵してと思うんだよね。
そうやって自分が好きなことをやっていると必ず誰かの役に立っているはずですから。
そして発酵型人間が増えていけば、社会は本当に豊かになっていくと思う。
—— 本記事の読者さまへ発酵していく想いが伝われば、光栄に思います。
ライトな質問
—— 長時間に及ぶインタビューになりました。大変貴重なお話をありがとうございました。必要とする人に本記事をお届けしていきたい思います。
そして本当に最後に、服部さんに興味ある方のために、いくつかライトな質問もお願いします。
- 服部さんの尊敬する人物は誰ですか?
服部:ソガイさんにしとこうかな!あはは(笑)
- 好きな食べ物は?
服部:えー野菜 - 毎日食べるお野菜は?
服部:トマト。毎日食べちゃうけど、かぼちゃが好きかな - 料理は何を普段作りますか?
服部:パスタとかよく作るかなぁ、そこにある野菜で。昼は玄米おにぎりと味噌汁だけとか。 - お味噌は自身で作ったもの?
服部:自分で作ってるやつ。うちの野菜と、うちの大豆とソガイさんの米で麹作って味噌作る。あそこは山の会ってあって、羊もいてでチーズもあって米もあって。 - Lalalaのお野菜をどういう方に食べて欲しいですか?
服部:食べたい人に。うんそう、食べたい人が食べればいい。 - インターネット普段されますか?
服部:うんします。でも全然更新とかしないです。Facebookとインスタばっかりですね - 嫌いな食べ物は?
服部:数の子 - 直近の目標は?
服部:うーん、野菜を欲しい人が増えてくれて、供給できるようにしたいなぁと思って。足りないんで。 - 月のリズムには?
服部:一応意識してる。でも、今ちょっと。試行錯誤。 - 取材チームでこれからランチをしたいのですが、どちらがオススメですか?
服部:ロカンダ。テルツィーナにいて、まだ若い30ちょいのシェフで、弟がパティシエでそこのスイーツも美味しくて、モンサンクレールで修行してきて、辻口さん。イケメン兄弟、ケーキも美味しいし。
—— 以上、です。(笑)ありがとうございました!
次回ゲストのご紹介
—— 服部さん、BIASTRAのリレーインタビュー も発酵していきたく、次回ゲストをご指名・ご紹介をお願いしたいのですが、冒頭にお話をいただいた、島牧村の吉澤俊輔さんへ次回のリレーインタビューのバトンを繋げさせていただきますね。
服部:はい。冒頭でも伝えた思うけど、僕はシュンスケに繋ぐね。すごくいいと思うよ。話として。最高さ。
—— 本日は長時間のインタビュー、本当にありがとうございました。
服部:はい、ありがとうございました。