自然栽培の手作業で、お米づくりをしたい方へ。
本記事では、八十八手の一手「塩水選」をレポートいたします。
種子を選別する際のご参考になれば幸いです。
「塩水選」
自然栽培のお米づくりと八十八手
塩水選とは?
塩水選(えんすいせん)とは、その年に田んぼに蒔く種子である籾(もみ)を、塩水に沈め種子を選ぶ比重法です。
種子として未熟なものは塩水に浮いてきたところを除いて、発芽しやすい比重の重い種子は、沈むことで選別していきます。
最後は水で塩分をよくすすぎ落とし、発芽するまで水に浸けて、田植えの準備に備えていきます。
塩水を作る

塩水に浮く自然養鶏の有精卵
塩水濃度の目安は、生卵を塩水に沈めても浮かび上がる程度と云われています。
その他には、海水を汲みそのまま塩水選に使うことも自然栽培農家では行われています。しかしそのままの海水では、若干塩分濃度が低いようです。
本記事では、海水から作った塩で塩分濃度を調整して塩水を作り、自然養鶏を営む瀬棚町のモリガキ農園さんの自然有精卵を使用しました。
種とする籾を選別する

浮いてくるのは未熟なお米

塩水に浮いた籾を取り除く

塩水に沈んだ良く発芽しそうな籾を使う
塩水の中で浮く籾はまだ未熟で、塩水にも沈む重い籾は、よく発芽するものとして、次の種として選んでいきます。
水で塩をすすいで落とす
塩水に浸された籾は、その塩を水ですすぎ洗いをしていきます。
注意すべきは、数種類のブランド米を、同時に塩水選する時です。
違う籾が混じってしまわぬよう、ネットを数枚事前に用意して、分別に注意を払っていきましょう。
水に浸し、発芽を待つ
ここまでの塩水選の作業が終われば、後はいよいよ発芽を待つだけ。
お米づくりは、種として繋いでいくことで、その土地、風土にあったものへと、変化を起こしていくことがあるのかもしれません。
少なくとも、自家採種で種を繋ぐことは、昔は基本であり、現代で言う自然栽培・オーガニックとは、あたかも当然の風習でした。
本記事の取材モデル
「吉澤俊輔 さくらの咲くところ」

吉澤俊輔氏 さくらの咲くところ
本記事、八十八手「塩水選」の取材にご協力頂きましたのは、北海道の千走に住む、吉澤俊輔氏。
自給率の極めて高い暮らしを実現する生活スタイルに、多くの教えを授かりました。
吉澤俊輔氏は、今年2019年で6年目の田んぼを迎え、現在は以下、三種類のお米を自然栽培で管理されております。
- 「ななつぼし」
開墾の田んぼ米、自家採種で5年繋いだ「ななつぼし」は、島牧村で波多野さんが10年ほど無農薬で栽培されていたもの。 - 「ハクチョウモチ」
瀬棚町の自然栽培農家、富樫一仁さんから継いだもの。 - 「マンゲツモチ」
昔の古い品種で、由緒ある天皇家でも育てているもの。
また、吉澤俊輔氏は、BIASTRA [ビアストラ]のリレーインタビューも取材させていただきました。
ご関心のある方はぜひ詳細インタビュー記事もご覧ください。
Editor’s note
八十八手の第一手「塩水選」をご紹介させて頂きました。
これからもBIASTRA [ビアストラ]では、八十八手の全工程を取材レポートして、より多くのゲストをご紹介していきたいと思いますので、どうぞお楽しみに。
TEXT & PHOTO
TAKESHI HOTTA